SPORTIST STORY
BEACH TENNIS PLAYER
牧萌笑
MOE MAKI
STORY

応援が笑顔に変わる

ビーチテニス界で兄・篤矢さんと共にその名を轟かす牧兄妹の妹、牧萌笑選手。明るい笑顔とファッショナブルな出立ちは、スポーツに対して抱かれがちな「汗と根性」といったイメージを一気に吹き飛ばすような軽やかさだ。実は苦手意識を持っていたというスポーツにのめり込んだ理由と彼女が今力を入れているビーチテニスの啓蒙について、練習中のコートで語ってもらった。

Interview / Chikayuki Endo
Text / Remi Matsunaga 
Photo / Naoto Shimada

運動は大嫌い! スポーツへの苦手意識しかなかった幼少期

ーーとても快活な印象の萌笑さんですが、スポーツはもともと得意だったんですか?

これを言うとよく驚かれるんですけど、実は運動大嫌いだったんです(笑)。 ビーチテニスやテニスはできますが、他のスポーツは今もちょっと苦手ですね。幼稚園から習っていたチアダンスが子供の頃に唯一やっていた運動で、それ以外のスポーツはほぼやっていませんでした。

硬式テニスを始めたのは小学校高学年の時です。それもスポーツがやりたいというよりは、「友達がやっているから一緒にやりたい」という安易な考えからでした。でもテニスって難しいし、友達がいるとはいえ運動自体はやっぱり好きじゃないから、毎週あるレッスンも「行きたくないな」ってよく思っていました。友達がいて楽しいからなんとか続けているって感じでしたね。

中学に入る時チアダンスと硬式テニスのどちらを続けるか悩んだんですが、親にはずっと「萌笑は負けず嫌いな性格だからスポーツをやった方がいい」と言われていたし私自身もそれはそうだなと感じていたので、中学以降は硬式テニス1本に絞って続けることにしました。家の近くに小田急のコートがあってテニスを続けられる環境があったのも、テニスを選んだ理由のひとつです。

ーー兄の篤矢さんもテニスを習っていたそうですが、その影響もあったんでしょうか。

そこまで影響を受けたと言うほどでも無いですけどね(笑)。 でも母と兄もテニスをやっているし、父も習ってはいないけど普通に試合はできるので、「家族でできるスポーツだから」と選んだ部分はあったように思います。運動や体育は好きじゃなかったけど、家族みんなでやるテニスは楽しくて好きだったので。

ーー幼少期から苦手意識を持っていたスポーツを楽しいと思えるようになったのはいつ頃?

中学校くらいからですね。それまでは全然運動をしてこなかったけど、「中学からは運動も少しずつやっていこう」と思って、入学と同時に陸上部に入りました。

最初はバスケ、卓球、バドミントン部あたりで検討していたのですが、先に同じ中学に通っていた兄から各部活の内容や先輩後輩関係の内情を聞かされているうち、結局兄も在籍している陸上部しか選択肢が無くなってしまって、結局同じ部活に入ることになりました(笑)。

陸上部では中長距離を走っていました。陸上競技は勝負する競技でもありますが、いざレースとなると自分ひとりで走る孤独な競技。汗をかいて、自分の気持ちと戦って、「私は何をやっているんだろう」と思いながらそれでも3年間走っているうち、何がきっかけかはわからないけど、いつのまにか「走るのって楽しいな」と思えるようになっていました。自己満足かもしれないけど、練習すればするだけ結果がついてくるのも楽しかった。

その気持ちに気が付いた時、「もしかして他のスポーツでも同じような気持ちになれるんじゃないかな」って思ったんです。それからは硬式テニスも少しずつ楽しめるようになりました。高校ではテニス部に入って、硬式テニスひとすじで頑張りました。

ーー努力を重ねることが結果につながっていく楽しみを知ったのが、陸上部だったんですね。

本来コツコツ頑張れないタイプなんですけどね(笑)。 でもなぜかスポーツだけは努力できるみたい。小さな目標を設定して、徐々に達成していくことを楽しいって思えるんです。ビーチテニスでも、小さな目標を順番に潰していくような練習をコツコツやっていますね。

ーー普段の練習にもそのスタイルは活かされていますか?

そうかもしれないです。例えば「今日はこれを徹底的に練習して強化する」みたいにその日の目標を決めて、1日中それをやり続けるような1点集中の練習は今でもよくやっていますね。自分に対して日々小さな目標を設定することは、今でも心がけています。

 

ダブルスは「ペアがいるから救われる」

ーービーチテニスの練習メニューって、硬式テニスの練習と似たものが多いんですか?

玉出しやスマッシュ、サーブなど硬式テニスの練習と似たものが多いですね。ビーチテニスを始めたばかりの頃は砂に慣れていないので砂浜でのダッシュやトレーニングも毎回やっていましたが、ビーチテニスならではの練習って意外とそんなにあるわけじゃないんですよ。

普段の練習は結構地味で、基礎練習の反復のようなものが多いです。練習では兄がコーチをしてくれているので、人数がいるときはダブルスでの対戦練習を行うこともあります。

ーー萌笑さんが初めてビーチテニスに触れたのはいくつの時?

高校3年生、18歳の時です。部活を引退したけど何かスポーツは続けたいと思っていた時、体験会に参加したのが最初でした。兄が先にビーチテニスを始めていたのでもともと知ってはいたし、興味もあったんです。でもそのときは硬式テニスを頑張っていたので、部活を引退したらやってみたいと思っていました。

でも見ているのと実際にやるのは大違いで、初めてビーチテニスをやった時はあまりにも足が動かなくてショックを受けました。なんとなく、「なんだかんだ自分はテニス経験者だし余裕だろう」って思っていたんですよね。それなのに初めて砂浜でコートに立ってみるともう一歩も足が出なくて。足元も砂で動きにくいし、予想していた何倍もしんどかったです。

ーーそれでも続けてみようと思ったのはなぜ?

しんどいし足も動かなくてすごく疲れたんですけど、でも面白かったんですよね。足元が砂なので転んでも全然痛くないし、地面を転がり回るのも楽しくて。体力的には辛いけど面白いから、「これならもう少し続けられそうだな、やってみたいな」って思ったんです。

スポーツで転ぶ瞬間って、他の競技の場合プレイヤーにとってはネガティブな場面なことが多いじゃないですか。でもビーチテニスはそもそもボールを追って飛び込んだり転がったりするスポーツで、それこそすごく上手な人も転がっているくらいだから、私ももうちょっと頑張れば上手くなれるんじゃないかなって思えたのも大きかったです。

ーー初めてからめきめきと頭角を現した萌笑さんですが、ここまでランクを上げてくる過程で、特に印象的だった試合はありますか?

ひとつ、自分の中で気持ちが強くなったと明確に感じた試合がありました。ちょうど1年ぐらい前、私はビーチテニスを始めるよりも前から日本代表に選ばれているような方にペアを組んでもらって出た試合でのことです。

その試合で、私たちは自分よりも年下の選手にほぼ負けが確定するくらいの点差を付けられていました。何をやっても上手くいかなくて「どうしよう」と考えているうち、試合中なのに涙が出てきてしまって。

その時は「こんなに上手な人に組んでもらったのにここで負けるなんて」という気持ちでいっぱいでしたが、同時に「もしこのまま負けるとしても思い切ってやらないと悔いが残ってしまう」とも思って。それならミスしても自分の思うプレーをやろうと動いてみたら、急に吹っ切れたようにすべてが上手くいくようになりました。

そこからは大逆転で、最終的に大会全体での優勝まで漕ぎ着けることができたのですが、見ていた人たちもみんな驚いていましたね。

ーーそれまでは苦しい状況になった時、そこまで振り切るまでにはなれなかった?

それまでは「どうしよう」と思ったまま試合に負けるパターンが多かったです。大きく点差が開いたり苦しい状況になっちゃうと、気持ちのどこかで諦めてしまっていたのかもしれないです。

だけどこの試合を経験したことで、厳しい状況になった時でも「あれほどポイントが開いても勝つことができたんだからまだ大丈夫だ」と落ち着くことができるようになりました。

あとその試合の時、一緒にペアを組んでいた方も「上手くいかない」って呟いていて。当たり前なんですけど、私よりも圧倒的に上手な方でもそんな気持ちになることだってあるんだから、自分がそう思うのは当然だと考えられるようになりました。

ペアにもソロにもそれぞれに学びはありますが、これはペアで出場していたからこそ得られた学びだったように思います。

ーーちなみに硬式テニスではシングルでの出場が多かったんですか?

硬式テニスではシングルスの方が好きでした。特に高校生の頃は、ペアを組んでいる相手の気持ちを気にしすぎちゃうところがあったんです。「私がミスったらペアに迷惑をかけてしまう」、「でも自分だけが練習して相手が練習していなかったらどうしよう」、「でも相手の方が上手くなって私がついていけなかったら……」とか、ものすごくいろんなことを考えちゃう性格で。だから高校時代はずっとシングルスが良いって思っていました。

ーーだけど、ビーチテニスはダブルスがメインでシングルスの無い競技ですよね。

そう! だからビーチテニスを始める際、実はそれをいちばん不安に感じていたんです。だけど今はダブルスに対して肯定的に考えられるようになったというか。むしろ「ペアがいるから救われる」と思うようになりました。

もちろん最初からそうだったわけではなくて、ビーチテニスを始めた頃は当然自分がいちばん初心者なので自分にいっぱいいっぱいでペアを気遣う余裕もなかったし、誰の意見を聞けばいいのかわからなくなる場面もありました。でもいろいろな人とペアを組んでもらううち、「自分には自由にやらせてくれるタイプのパートナーが合っているな」とわかってきました。

あと、ビーチテニスでダブルスをやっている方にダブルスの楽しさを聞いてみたら、「ペアに助けてもらえること」って言っていたんです。それを聞いて、私も「たしかにそれは実感しているな」と思いました。プレー面でもそうだし、メンタルが落ちている時もアクションを起こしてくれる。それに気付いてからはダブルスに抱いていた不安が無くなりました。

ーー中学高校と個人競技で頑張ってこられた萌笑さんですが、ビーチテニスでは「人とプレーする楽しさ」を知ることができたんですね。

個人競技と違って、ダブルスってコートの中ではふたりきりじゃないですか。ビーチテニスは特にハイタッチをすることが多い競技で、それこそ老若男女関係なくポイントごとに1回ハイタッチするんですよね。

だから、例えばその時劣勢でちょっとメンタルが落ちていてもハイタッチが毎回切り替えるきっかけになるし、手を出す時に相手の顔を見るから表情からも気持ちを読み取れる。それが声かけや手助けにもつながるんです。ダブルスにはお互いを助け合う良さがあると思います。

とは言え、今また硬式テニスに戻ってダブルスでプレーできるかというと、それはまたちょっと違う気もするんですよね。硬式テニスもやってきたからこそ思うのですが、私の場合、今のプレースタイルを硬式テニスで発揮するのは難しいと思うんです。

今楽しくできるのは「ビーチテニスのダブルス」だからなのかも。それぞれの競技に良さはありますが、今の私にはビーチテニスの明るく楽しい雰囲気が合っているように思います。



他人の視線よりも自分のやりたいことが大事

ーー萌笑さんはビーチテニスを通して自身が楽しいと思えることをどんどん増やしてきたように感じます。ビーチテニスに触れたことで、自身の性格や考え方も変わってきたと感じていますか?

ビーチテニスを始めるまでの自分だったら何も挑戦できないままだったと思うし、いろんなことに気付けないままだったと思います。ビーチテニスは私を大きく変えてくれました。

これは兄も同様だと思うのですが、本当に始める前の自分と始めてからの自分は、内面含めて全然違うんです。

もともとの私はあまり自分の思ったことや意見を表に出さない方でした。家ではわがままな性格だったんですけど、周りの人に対しては、見られ方や相手の反応を気にして自分の意見を言えなかったんです。

だけどビーチテニスってすごくフレンドリーなスポーツで、先程話したように声をかけ合ったりハイタッチする機会も多いし、プレイヤーも気持ちを開きやすいタイプの方ばかり。自分の意見を言いやすい環境に身を置いてきたことで、自分から発言したり発信することへの抵抗感が無くなってきたような気がします。

ーー発信といえば、萌笑さんのSNSにはいつも素敵なウェアが載っていますよね。

今着ているウェアはラケットサポートをしてくださっているKONAさんのものなんです。練習中も試合の日も、ウェアについては自分なりにちょっと気を遣って選んでいます。「おしゃれをしよう」というよりは、「できるだけ自分の気分が上がるものを選びたい」って気持ちです。

基本的に「これを着なくちゃいけない」って決まっている競技ではありませんが、ビーチスポーツなので夏はビキニで試合に出ることも多いです。

ーーちょっと繊細な質問かもしれないのですが、試合中に人の視線が気になることはありませんか?

子供の頃からチアダンスをやっていたこともあって、もともと人に見られることに対してはそんなに抵抗が無いんですよ。単純に私自身が地味な格好よりも派手にいたいっていうのもあるし、むしろ「ビキニで試合なんてやるんだ!」みたいに目を惹いたことがきっかけでビーチテニスに興味を持ってもらえるならそれはそれでありなのかなって思って、できる限り目立つ格好でいられるよう考えています。
ビーチテニスをやっている方の中で、20代女性って実は結構少ないので、若い方にも知ってもらいたいんです。

ーー日本のビーチテニス界には、若い人がまだ少ないんですか?

大会に出ている方の年齢層は、20代後半から30、40代くらいの方が多いように思います。私としては一生できるスポーツだと思っているし実際に年齢問わず楽しめるものなのに、若年層がまだまだ少ない。それは日本ビーチテニスのひとつの課題かなと感じています。スクールに通ってくださる方は、大学生や主婦層の方などもちらほら増えてきているんですけどね。

だからこそ、同世代の人たちに対してもアピールできるように、派手で目立つ格好をしているのもあります。ウェアから興味を持って入ってきてくださる方もいらっしゃるかもしれませんし。

ーー萌笑さんのウェア姿に憧れる方もいそうです。

スクールに通っている方の中には私の着ているウェアやレギンスをお揃いで着てくれたり、同じラケットを選んでくださる方も結構いて、すごく嬉しいです。

あまり強く勧めたりするのは苦手なので、あくまで私はウェアやラケットが目に入る機会を増やしたいなって思っていて。そのうえで、「これ良いな」って自身で選び取ってくれたら、それ以上に嬉しいことはないですね。

実際にレギンスについてはビーチや練習コートで着用する方が急激に増えたらしく、商品提供してくださった方もとても喜んでくださっていました。

ーービーチテニスはウェア以外の部分でも、見た目に遊び心を取り入れやすいスポーツですよね。

ネイルやアクセサリーOKなスポーツって、たしかにあまりないですよね。私もネイルは結構こだわっています。ウェアと違って遠目に見てすごく目立つものではないですが、でも試合中に自分の気持ちを上げる大事なものなんです。女性の観客の方は、結構気付いてくれる方もいらっしゃいますね。

アクセサリーも別にNGではないんですよ。実際にそれが危険につながるスポーツであれば控えるべきだと思いますが、ビーチテニスはネックレスも大きなピアスもできる競技なので、思い切りおしゃれして試合に出ている方も多いです。

ーーいろいろな面で楽しめるスポーツなんですね。これは海外のビーチテニス界でも同じなのでしょうか。

私自身、海外の選手達に影響を受けた部分も大きいです。私だけじゃなく、きっと兄も同じですね。男性もおしゃれして試合に出ているんですよ。

最近試合でイタリアに行ったのですが、海外の選手は周りの目をまったく気にしないなと改めて強く思いました。ウェアについても、日本の選手からは「体型や年齢が気になって好きなウェアを着にくい」という話を耳にしますが、海外では特に何歳でも関係なくビキニで試合に出ます。

そういったメンタル的な部分は日本と大きく異なるのかなと思っています。日本でビーチテニスを普及するうえでの壁にも繋がっていることかもしれません。

ーー萌笑さんは海外でも活動していらっしゃいますが、活動を通して自身に影響を与えた選手はいますか?

私がビーチテニスを始めた頃「自分もビーチテニスを頑張って続けよう!」と思えたのは、ベネズエラの「パティちゃん」と呼ばれている選手の試合を見たのがきっかけなんです。

兄は180㎝超えの長身ですが、私はどちらかというと周りよりも小さい方なので、ビーチテニスを始めた当初は170㎝のネットが結構しんどかったんですよね。兄に教えてもらっている時も「お兄ちゃんは大きいんだからできるのは当たり前じゃん」って気持ちになっちゃったり。

でも、そのパティ選手は海外のトップ選手なのに、私と同じ身長だったんです。日本以上に長身の選手が多い海外で私と同じ身長の選手がトップに入っているなら、私も頑張らなくてはと思いました。

ーーじゃあ今の目標は、パティ選手とプレーすること?

目標にしている存在だからこそ、ダブルスで一緒にプレーするんじゃなく、ちゃんと対等な選手として戦ってみたいです。まだまだライバルになれるほどの実力を備えられていないので、いずれちゃんと力をつけて自分も同じところに立って戦って、自分の力量を知りたい。パティさんに比べて自分は本当にまだまだなんですけど、私の中では本当に偉大な選手なのでいつか叶えたいと思っています。

あとは同年代の選手を増やして、自分のライバルを作ることかな。今ビーチテニスをプレーしている人はみんなライバルだと思っているんですけど、やっぱり同年代のライバルが欲しい気持ちはずっとあるんですよね。同じ世代のみんなで一緒に頑張っていける仲間ができれば、より自分自身も頑張れると思うので。

ーー現時点で一番身近な同世代選手は、やはり兄の篤矢さんですか?

そうですね。兄は一緒にビーチテニスを一緒に広めつつ練習の相手もしてくれる、同志のような存在です。最近は私も徐々にレベルを上げてくることができているので、これまで以上に競技についていろいろと話すようになりました。この間の試合でもすごく応援してくれて、ありがたかったです。

だけど試合となると、兄妹だから私だけを必ず応援してくれるってわけでもないんですよ。これは兄に限らず、家族みんながそう。家族だから絶対応援するってことではないんです。先程もお話ししたように、ビーチテニスは「敵味方関係なく良いプレーを応援する」競技なので、私の対戦相手がすごく良いプレーをしていたらみんな拍手するし、「気がつけば家族みんな私の対戦相手の応援してるじゃん!」ってこともありました(笑)。



応援は笑顔になれるもの

ーーこの先のビーチテニス界について、萌笑さんはどのように考えていますか?

課題はたくさんありますが、まずは競技人口を増やすことかなと考えています。
基本的に試合はビーチなど開かれた場所で行われているので、「なんとなく見たことがある」という方もいらっしゃいますが、ビーチサッカーやビーチバレーに比べるとやっぱりまだまだ競技としての知名度が低い。

私はここから人気を高めていくためには、なるべく多くの人に体験する機会を持ってもらうことが有効かなと考えています。兄も同じ考えでスクール運営を頑張っているんですけど、でもスクールに申し込んで足を運ぶのはハードルが高いなって考える方もいますよね。だから私は、偶然通りかかっても参加できるようなビーチでの体験会などに力を入れていきたい。

私自身も体験会に参加したことをきっかけに競技を始めたし、ビーチテニスは観るだけでも楽しいけど体験したらもっともっと楽しいスポーツなので、気軽に参加できる体験会をたくさん開いて、ビーチの良さを知ってもらえる機会を作りたいんです。

ーー普及に尽力している今、大会や練習場所で掛けられる声は大きな力になりそうですね。

まだまだな位置にいるからこそ、本当に力になります。試合でも、体験会でも、みんなの応援があるからこそ「頑張ろう」「もっと楽しませたい」って気持ちになる。

私、名前に「笑」って文字が入っているんですけど、やっぱり笑っている時が自分がいちばん自分らしく、明るくいられるときなんですよね。チアを習っていた時に、「笑顔でいることがいちばん」ってマインドを学んだんです。

試合で負けているときは焦って表情が硬くなっちゃって、笑顔が少なくなってしまうことも多くて。でも周りからの応援が聞こえた瞬間に、「あっ、今こんな状況なのは笑ってないからだ!」って気がついて、そこから持ち直せるようなこともあるんです。

だから私試合中、結構笑ってるんですよ(笑)。今の自分にとって、いちばん楽しいって思える時 = 笑顔になれる時は、ビーチテニスをやっている時間だからかな。ビーチテニスは苦しみながらやるスポーツではないので、明るくいられることが大事だと思います。

ーー最後に、萌笑さんにとって応援とは?

応援は「笑顔になれるもの」。気持ちを明るくさせてくれるきっかけをくれるものです。たくさんの人の応援が私を笑顔にしてくれていると心から思っています。