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AYAKA
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「頑張れ」って気持ちの最上級

「応援」のエキスパートとも言えるチアリーダーズ。コロナの蔓延以降、声出しの禁止や入場者数の制限などスポーツ界でも厳しい状況が続く中、全力のパフォーマンスと明るい笑顔で会場を活気づけてくれる姿に、力を与えられた人も多かったのでは無いだろうか。 今回SPORTISTが話を聞いたのは、プロスポーツチームでの専属チア経験を経て、バスケットボール日本代表オフィシャルチアリーダーズAKATSUKI VENUS®第2期から第4期まで所属したAYAKAさん。プロチアとしてのキャリアを培ってきた彼女は、今年NBAダンサーへの挑戦を決めた。選手を、観客を、そして自身をチアアップし続ける中で彼女が見つけた自身の夢、そして彼女が思う「チアの存在意義」について、将来の展望とともに語ってもらった。

Interview / Chikayuki Endo
Text / Remi Matsunaga
Photo / SPORTIST

 

大好きだったダンスが目指すべき夢になった



ーーAYAKAさんはAKATSUKI VENUS®に所属していらっしゃったんですよね。

はい、AKATSUKI VENUS®には第2期から加入して、第4期まで活動しました。それ以前はプロバスケットボールチームの専属チアとして4年間活動していました。チームの専属チアとして在籍していたのは大学在学中の4年間なので、プロとしてのキャリアは18歳からです。

ーー子供の頃からダンスやバレエなど、チアに繋がるような習い事をなさっていたんですか?

祖母は日本舞踊、母はクラシックバレエ、叔母は社交ダンスと家族にダンス経験者が多い環境だったので、私も母の勧めで4歳からクラシックバレエを習い始めて、中学3年生まで続けていました。チアに初めて触れたのは、中学で入部したバトントワリング部。中高一貫校だったので、部活でのバトンとチアダンスは高校を卒業するまで6年間続けました。

ーーなぜバトントワリング部を選んだんですか?

実は母も叔母も同じ学校の卒業生で、バトントワリング部のOGでもあるんです。だから小学生の頃から「私も同じところに入るんだ」って、ずっと勝手に思ってたんですよね。だから、中学受験をしてその学校に入ったことも、バトントワリング部に入部したのも、私の中では必然だったんです。

部活で実際にチアを始めてみて、チアの「明るく元気に笑顔を届ける!」って雰囲気は私の性格にすごく合ってるなと思いました。「クラシックバレエをずっとやってました」って言うと、なんとなく大人しくておしとやかなタイプなのかな?って思うじゃないですか。でも私、本当に根っから元気いっぱいなタイプなんで、バレエよりも全然チアの方が合ってましたね(笑)。

中学3年生の時にバレエを辞めちゃったのも、実はそれがきっかけなんです。クラシックバレエって、団体で踊るコール・ド・バレエや、ソロや、男性とのペアで踊るもの等、いろいろな踊りがあるんですけど、私は小さい頃からソロで踊るよりも団体で踊る方が好きだったんですよね。ひとりで脚光を浴びたくないというか、みんなと一緒に合わせて踊る方が楽しかったから、先生に「1人で踊ってみる?」と言われた時も断っていたんですけど、やっぱり年を重ねるごとにソロや男性とのペアを勧められることが多くなってきて。「私はそれがやりたいわけじゃない」って気持ちと、「チアの方が好き」って気持ちがあいまって、結局辞めちゃいました。だから辞める時も、気持ちの引っかかりみたいなものは一切無かったですね。

ーーバレエを辞めることについて、家族の反対は無かったんでしょうか。

なんにも言われなかったですね。多分母も、「私にはバレエよりチアの方が向いてるな」って感じていたんだと思います。私がバレエに乗り気じゃなくなってきているのにも気が付いていた気がするし。だから私が「辞めたい」と言った時も「辞めたいなら辞めてもいいんじゃない?」って言ってくれました。

ーープロとしてのチアリーダーを知ったのもその頃ですか?

プロチアと言う存在を知ったのは、中学3年生の時。部活の外部コーチとして、Xリーグでチアリーダーをされた方が教えに来てくれていて、その方をきっかけにNFLのパフォーマンスを見たのが最初かな。

「プロスポーツに華を添えるチアリーダーってものがあるんや!」って知ってからは、もうずっとNFLのチアリーダー動画を検索しては見漁っていました。振り付けを真似して覚えたり、部活での振り付けに反映させたりもしましたね。

海外への憧れみたいな気持ちが出てきたのもその頃。私、チアを目指す前から「アメリカへ行ってみたい」って思っていたんです。もちろんその頃はまだ「旅行で行ってみたいな〜」くらいの気持ちでしたけど、中学の先生にも「早くアメリカに行きたい」「ブロードウェイの舞台が見たい」って言ってましたね。アメリカに対してはその頃から夢や憧れを漠然と持っていたように思います。

大学を選ぶときも、チアを基準に決めました。大学でのチアリーディングを選ぶのか、それとも中高の部活にきてくれていた外部コーチみたいにプロスポーツの場で活動するかで結構悩んだんですけど、「チアリーディング部は中高でも6年間もやったから、違う場所でやってみたいな」と思って、ちょうどオーディションを開催していた地元を拠点とするプロバスケットボールチームのオーディションに参加することにしました。

体力的にどんなに辛くても、練習や試合を嫌だと思ったことは一度も無かった

ーー大学に進学後プロチームでの活動を始めてからは、それまで以上にチア一色の毎日だったかと思うのですが、家族の反応はどうでしたか?

家族は私のチア活動に対してすごく理解があって、いつも「頑張っておいで」って送り出してくれてましたね。友達も、「急なイベントで予定が変わったりすることも多いし、土日も試合があるから遊べない」って言ったら「じゃあ会いに行くね」って試合に足を運んでくれたりして。家族を始め、周りのみんなにはすごく応援してもらっていたと思います。

ちなみに、当時新しい振り付けを覚えたら家族の前で披露していたんですけど、みんなダンス経験者だから「そこがズレてる」とかダメ出しがめちゃくちゃ多くて(笑)。 悔しかったけど、でもそのおかげで上手くなっていけた部分もあったのかな。

ーーなかなか厳しいですね(笑)。

本当に、褒められたことなんて一度も無いんですよ(笑)! ステージママってわけでも無いんですけど、ダンスに関してはやたら厳しくて、「上手やったね」みたいなこと言われたのは本当に1回も無いです。でもその厳しい指摘のおかげで上手くなれたのは絶対あるし、自主練に付いてきてくれたり送り迎えをしてくれたり、母のサポートのおかげで充実した練習ができていたとも思うんですよね。試合も毎回見にきてくれていたし、試合後もミーティングが終わるまで1時間以上毎回待ってくれて、厳しいけどサポートはめちゃくちゃしてくれる。それには今も感謝しています。

でもね、さっき「家族にはすごく応援してもらってた」って言いましたけど、なんか家族はみんな、そうすることが普通みたいな感じなんです。家族にとってはチアをしている私、踊っている私が普通。同じように、私自身にとっても、ご飯を食べること、寝ることと同じように踊っているのが普通。そんな環境で26年間生きてきました。

ーーしかし学業とプロチアとしての活動を両立させるのは、なかなか大変だったのでは?

授業との両立は大変でしたね。大学では心理学部心理学科に進んだんですけど、1限目が4回生までしっかりある学科だったから、平日チアの練習を19時から21時までやって帰宅したらもう23時で、次の日はまた1限目から授業があるから早く起きなくちゃいけないって生活はちょっとしんどかった。でも、練習や試合そのものに対して「しんどいなぁ」って思ったことは一切無いです。

よく人にも言われるんですけど、普通の方のテンションが50だとしたら私の普通は多分100くらいなんですよね。だから、もし私のテンションがちょっと下がって70くらいになったとしても、それでも普通の人よりテンションが高いのかも。私、たぶんポジティブ人間すぎるんです(笑)。もしかしたらいわゆる挫折みたいなこともあったのかもしれないけど、でも挫折だと考えなければ挫折にならないですもんね。嫌なことも寝たら忘れるタイプです。だから大学時代も体力的にしんどいといえばしんどいけど、でも辛いとはならなかった。

 

自分自身に問いかけた、チアリーダーとしての存在意義


プロスポーツにおいてのチアリーダーは、選手を応援するために、そして観客の応援を誘導するために存在すると思っています。例えばオープニングでは試合前の気持ちを盛り上げて、タイムアウト時には「まだまだ一緒に頑張ろう」っていう観客の皆さんの気持ちをパフォーマンスにのせる。観客の皆さんと一緒に会場を盛り上げることが、チアリーダーとしての役目だと思ってます。

プロバスケットボールチームの専属チアを辞めたあと、関西圏を拠点とする別のチームで活動することも考えたんですけど、私は生まれてから一度も地元を出たことがなかったので、やっぱり地元チームを応援したい気持ちが強くて、進路についてはちょっと悩んでて。そんな時ちょうどAKATSUKI VENUS®第2期オーディションの開催を耳にしたんです。

活動拠点は関西じゃ無くなるけど、日本全体を応援する形なら地元にこだわることなくやれるし、むしろ全国のチアが集まる中での活動できればチアとしてもさらにレベルアップしていけるんじゃないかなと感じて、オーディションを受けることにしました。

ーーそしてオーディションには見事合格、第2期からAKATSUKI VENUS®の一員として活動をスタートしたわけですね。新たな環境に身を置いてみて、いかがでしたか?

まず、それまで以上に、常にチアリーダーとしての姿勢を問われる環境だなと思いました。パフォーマンスが高レベルなことはもちろん、各自がチアリーダーとして積み重ねてきた内面のレベルが違う。発言、その際の言葉選びなども含めて、メンバーみんなの内面に日々高められていることを実感できる環境で、日々お互いをチアアップしている感じです。

ーーチームメイトから学ぶところも多々あるのではないでしょうか。

プロバスケットボールチームで活動を始めた時はまだ18歳だったので、チームメイトはみんな年上で、社会人として仕事をしながらチア活動をしている方が多かったんです。すでに大人として成熟している人ばかりだったので、そんなチームメイトに早く追いつきたくて、憧れていました。

AKATSUKI VENUS®としての活動を始めてからは、チアリーダーとしての在り方をチームメイトから学んでいます。変な言い方かもしれないですけど、チームメイトみんなが、「チアリーダーのためのチアリーダー」なんですよね。

例えば誰かが間違った時も、指摘するだけじゃなく「あのフリが違っていたから一緒にやってみよう」と声を掛ける人ばかり。チームディレクターが行うようなこともメンバー内でカバーできてしまう気遣いやコミュニケーション能力、それぞれが当事者として解決しようという姿勢など、たくさんのことを学ばせてもらっています。練習はすごくハードですけど、それ以上にいろんな面ですごく成長させて貰えています。


自分達のパフォーマンスを見てくれる人のために、どんな時でも全力で

ーーたくさんの人の前で踊る時ってどんなことを考えているんですか?

これは多分人によると思うんですけど、私はいつも「楽しい〜!」って思ってます(笑)。 もともとあまり緊張しないタイプみたいなんですよね。もちろん練習量の少ないパフォーマンスの時なんかはさすがにちょっと緊張しますけど、でも踊り始めたらそれ以上に楽しい気持ちが勝っちゃう。

ファンの方が写真を撮ってくださることも多いんですけど、その写真を見たらもう顔がくっちゃくちゃになってるんですよ(笑)。でもそれくらい、本当に楽しい。お客さんとアイコンタクトを取ったり、いろいろ考えて動くところももちろんありますけど、でも最初にくるのはやっぱり「楽しい」って気持ち。ライトが当たる感じや音響で、テンションもより上がっちゃいますね。

ーーチアは身体が資本でもあると思うのですが、食生活で気をつけていることはありますか?

しっかり食べてたくさん動いてたくさん寝て、基本的な生活を普通にするくらいです。もともと太りにくい体質なこともあって、食事制限もそんなにしたことがないですね。野菜を最初に食べるとか、鶏肉や白身魚をなるべく食べる、みたいな普通のことを心がけるくらい。でもラーメンが大好物なんで週3で食べちゃったりすることもあります(笑)。

ーーちなみにチアの方々って、どういったスケジュールで動いているんですか?

練習は丸1日の時もあれば半日の時もあります。試合の日は、17時スタートの試合であれば午前中には会場に入ってリハーサルをして、それからお客様をお迎えします。その後オープニングパフォーマンスを行って、試合中はサイドで応援して、タイムアウトになればコートに出てパフォーマンスして、またサイドで応援して、次はハーフタイムの準備をして……といった感じですね。

1日中動いているので、運動量は皆さんが思っている以上にハードかもしれませんね。キラキラしたイメージと実態との差は、結構あるかもしれないです。チアってたまに悪い意味でのアイドル的な見られ方と言うか、「ポンポン持って笑っているだけでしょ?」みたいな言い方をされることもあるんですけど、でもみんな芯を持って活動しているし、「そのイメージと現実はまったく違う!!!」ということは、声を大にして言いたいですね(笑)。

ただそれも、私達はチアリーダーなのでイメージを変えていきたいなら、言葉よりもパフォーマンスや表現、日頃の対応、姿勢などで変えていくべきだとも思うので。「こんなに練習してるんだ、動いてるんだ!!」って声高に叫ぶんじゃなく、声をあげなくても伝わるだけのパフォーマンスをすることがチアの本分なんじゃないかなって思います。

チアのわたしたちを応援してくださる方ももちろんたくさんいらっしゃるんですけど、会場での応援対象はあくまで選手やチームのみなさん。私達は観客の皆さんと一緒に応援する立場なので、向けられる応援の種類がちょっと違うんじゃないかなと感じています。

チアリーダーはそもそも応援をする立場なので、自分が元気じゃなくちゃダメなんです。もちろん家族や友達は応援してくれているし、一緒に頑張るメンバーもいるけど、練習ですごく疲れたり、「今日のパフォーマンス上手くいかなかったな……」って落ち込んだ時にその気持ちを切り替えるのは自分。だから常に自分に対してもチアアップして、体力面も精神面も強く保っていたいんです。

ーーパフォーマンスを見てくれる人を元気にするために、心がけていることはありますか?

リハーサルの時から全力を出すようにしています。リハーサルも、音を流してくれる音響さんや照明さん、MCの方など、たくさんのスタッフさんがいるからできることなので、そこで私達が適当なパフォーマンスを行うなんてことはあってはならない。だから、いつでも全力で、見てくださる方に元気を与えるパフォーマンスを行うよう心がけています。

AKATSUKI VENUS®で活動をする際も、ディレクターさんには「私達よりも先に会場入りして試合会場を整えてくださっているスタッフさんを始め、たくさんの方が関わって今日の試合が開催される。だからまずはその方たちにも元気になってもらえるように、リハーサルから本気で感謝の気持ちを持ってパフォーマンスしなさい」ってよく言われています。

ーーちょっとネガティブな話かもしれませんが、例えばチームがものすごい大差で負けてしまっている時など、応援するのがしんどい状況もあると思うんですよね。

それは確かにありますね。過去私が在籍していたチームでも連敗が続く状況は多々ありました。でもそういう時こそ全力で応援するのが私達の仕事だと思うんです。私達もチームが好きなので、「悔しい!つらい!」って気持ちがまったく無いわけではないんです。でもそういう私情は一旦置いて、プロのチアとしてやれることは、落ち込んだ観客の皆さんやチームを応援していくことかなと。

観客の方々の落ち込んだ表情を見ながら応援するのが心苦しいことも正直ありますけど、でも大変な状況の中でもチームは一生懸命頑張っているので、「一緒に頑張って応援しよう!」と観客にアピールする気持ちでパフォーマンスをしています。

ーーそこから点差が狭まったり逆転したりすると、観客も盛り上がりますよね。

私達もテンションは上がるんですけど、でもだからといって私達が盛り上がりすぎるのはまた違うんですよね(笑)。 常に平常心を保ちつつ落ち着いて応援しないと、例えば私たちがテンション上がりすぎてパフォーマンスで怪我をしちゃったら試合に水を差すことになってしまうし本末転倒なので、勝っていても負けていても、心の中で熱い気持ちは持ちつつ、でもパフォーマンスはフラットなテンションでできるようにしています。

ーー観客の立場からすると、チアの皆さんが明るい空気を作ってくださるおかげで、試合中も落ち込みすぎることなく応援し続けられたり、「また見に行こう」と明るい気持ちで帰れたりする部分もあるように思います。

観客の皆さんの応援は本当に選手に力を与えると思うので、仮に負けていたとしても、私達のパフォーマンスでその熱量を下げないようにできていれば、そんな嬉しいことはないですね。

 

チア全体を取り巻く環境を変えるために

ーー来場する子供達にとって、チアは憧れの存在でもありますよね。

最近ダンスが学校の授業で取り入れられるようになったこともあって、以前よりもチアに注目してくださるお子さんは多くなりましたね。チアクラスを持つチームも増えてきているので、今チアを習っている子供達の中に、将来チアリーディングやプロチアの世界を目指す子もいるかもしれません。

だからこそ、そんな子供達のロールモデルになれるように、パフォーマンスだけでなく内面も、大人の女性としても素晴らしい人でありたいですね。自分自身がチアリーダーとしての自分を誇れるように、レベルアップしていきたいです。

ーーNBAダンサーへの挑戦も、そのような思いに起因しているんでしょうか。

そうですね、中学時代から持っていた海外への憧れと、実際にプロスポーツの場でチアとして活動したことで「理想にもっと近づいていきたい」という思いが膨らんだ結果、今回の挑戦に繋がりました。NBAにもチアダンサーがいることを知ってから挑戦したい気持ちが芽生えてきたんですけど、ただNBAで活動したいだけじゃなく、その先にある夢のためでもあるんです。

私のいちばんの夢は、日本で私が理想とするチアのチームを作ること。そのためにはいろんな場所での経験が必要だと思うんですけど、Bリーグのチーム、そして日本代表チームでチアを経験したなら、次はもう日本を飛び出すしかないじゃないですか(笑)。 だったら、子供の頃からの夢を叶えるためにも「今行くしかない!」と思って。

今回初めてNBAのオーディションに挑戦するんですけど、そこでの結果が合格でも不合格でも私にとってはプラスな経験でしかない。すべてにおいて挑戦することに意味があると思うので、自分の「好き」と思う気持ちをとことん大事にしたいんです。チアを続けられる楽しさの根本にあるのは、やっぱり「チアが好き」っていう気持ち。だから今はその「好き」という気持ちにとことん向き合って、気持ちが赴くままに行動してみようかなと。この経験はきっと理想のチームをディレクションしたいという将来の夢にも良い影響を及ぼすはずなので、アメリカでしっかりキャリアアップして、今後のチア活動に活かしていきたいです。

ただ、日本でNBAとまったく同じことをしてもそれは日本という土壌に合わないと思うから、そこはちゃんと自分の中に一度取り込んで、上手に融合させたい。そのためにも、必要なものをしっかり見極めて学んでこようと思います。

ーーAYAKAさんは理想のパフォーマンスやチアとしての在り方がすでにしっかりと見えているように感じるのですが、自身を取り巻く環境に対しての理想などもありますか?

まず、職業としてチアリーダーを名乗れる環境を作ることですね。

現在Bリーグでチアの専属マネジメント契約を行っているのは、まだ数えられる程度の数チームだけ。それはつまり、Bリーグ内でチアだけを職業として生計を立てられているのはその数チームに所属している方々だけってことです。だから将来的に、専属契約ができるチームが増えて、「職業はチアリーダーです」と多くのチアが名乗れる環境が整っていけばと思いますね。

現状日本では、チアだけで食べていくことってすごく難しいんですよ。チームによっては実家暮らしだからこそ続けられている方も多いんじゃないかな。チアクラスを受け持っている現役チアリーダーの方もたくさんいると思うんですけど、チアを習いにきている子供達が「将来は先生みたいにチアリーダーになりたい」と思ってもらった時に、現実的に職業として目指せるものにしていかなくちゃいけないなって思ってます。

自分の子供がチアリーダーを目指した時に「そんな生計を立てていけないような仕事では……」と親が心配するような状況のままじゃダメ。チアリーダーの価値を上げて、ちゃんと仕事としてやっていける職業として確立できれば、子供達の夢もその先へ繋がっていくんじゃないかなと考えています。

あと、すごくハードな毎日を送らなくちゃ活動していけないっていうのも問題だと思っていて。私も平日は9時から17時まで仕事をしてその後チアの練習に行って、土日は試合で活動して……というスケジュールなので、実は休みって1日も無いんですよね。

体力的にも結構きついし、仕事との両立が難しくて続けられなくなってしまう方もいる。だけどチアを職業にすることができれば、その辺りの問題も解決することができるので、チア全体を取り巻く環境は少しずつでも変えていきたいなと思っています。

 

いちばん大切なのは誰かを応援したい気持ち

ーー最後に、AYAKAさんにとって応援とは何でしょうか。

「頑張れ」って気持ちの最上級かな。

コロナが蔓延したここ数年、特に観客のみなさんは声を上げて直接気持ちを伝えられない状況になってしまったじゃないですか。だけど以前と同じように選手やチームを応援したい思いは変わらず持ってくださっていると思うので、その思いを私達チアリーダーが、一緒に表現できていれば良いな。

マスクを付けたままでのパフォーマンスだったとしても、アイコンタクトや身振り手振りでできることはたくさんあるし、どんな形の応援であっても、いちばん大切なのは誰かを応援したいっていう気持ちだと思うんです。

今後もその気持ちを忘れず、選手も観客もスタッフも、応援する側もされる側も、周りにいる人みんなを元気にしていきたいです。